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「……俺は、なんでこんなもんの中に…………。っていうか、ここどこだ?」
はっとして、俺は慌ててキョロキョロと周りを見回す。
すると、すぐに自分の周囲を埋め尽くす十字架の存在を認めた。
大小様々な形の十字架は、どれもこれもが地面に突き刺さっていて、その全てに名前らしきものが彫り込まれているようだった。
「この十字架は、まさか全部墓標か……? だったら、ここはやっぱり……墓地だよな?」
どうやら自分が今立っている場所は、どこかの墓場らしかったが……。しかしそれにしても、この場所はどうにも様子がおかしい。
まず、明らかにここは土葬式の墓地なのだが、日本ならば火葬された故人の遺骨を墓石の下に収めるタイプの墓場の方が一般的な……。
「……っていうか、おい、ちょっと待てよ! 俺さっき棺桶から出て来たよな!? 何で知らない内に遺棄されてんだ!? いや、そもそも埋めたヤツ誰だよ!?」
そうだ。
俺はまだ生きている人間なのに、どうして埋葬なんぞされかけて……。
(……ん? いや、ちょっと待てよ)
そういえば、先ほど棺桶の中で目が覚めてから、俺はずっと体に違和感を感じていたのだ。
「なんか、妙に体の感覚が薄い気がするんだが……」
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