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正直なところ、ゾンビとか住所不定の無職とか、色々気になったけど……。
そんな事を気にするよりももっと、今の俺には優先して行うべき事があった。
「すぅ……はぁ……」
一度、大きく深呼吸した俺は、続けてそっと目を閉じると、右手を軽く額に添えて……。
そして、夢の中で自称女神から受け取った最後のスキル、【以心伝心】を発動させた。
「……もしもし、ちぃちゃん? 俺だけど……」
『あぁ、杉本。キミ、その声の調子だと上手く転生出来たみたいだな』
(……マジか)
どうしよう。
……夢だけど、夢じゃなかった。
「え……いや、ちょっと、ちょっとちょっと。ねぇ、なにこれ。 さっきのあの転生とか神様とかの話ってガチじゃないですか」
『わたしは最初から本当だと主張していたよ。……ところで、杉本。いったいキミが何に転生したのか教えてくれないか?』
「いや、それがその、ゾンビ的な何かに生まれ変わってるっぽいんだけど……」
『ほぅ。よかったじゃないか。ゴキブリとかナメクジよりもずっとマシだぞ』
「ゴキブリとかナメクジに転生する可能性あったのかよ……。っていうか、おい! 俺はこれからどうすりゃいいんだ!?」
『そうだな……。とりあえず、しばらくは暗い森の奥とかに隠れてザコモンスター相手にレベリングでもすればいいんじゃないか? モンスターに人権なんて無いから、人間に見つかったら問答無用で攻撃されるしな。ある程度の実力を付ける事をオススメするよ』
「……ふえぇ」
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