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『泣くな杉本。キミは男の子だろう?』
「うるせぇ! うんこ中に非業の死を遂げた上に、その十数分後に住所不定無職のゾンビに生まれ変わってる男の気持ちなんざちぃちゃんには分からねぇよ!」
『だからといって、わたしにあたっても仕方がないだろう? とりあえず、これからもわたしはキミの話し相手になってあげるし、サポートだってする。キミが人権すら失ったニートで死体のモンスターになっても、わたしだけは味方でいる事を約束する。だから、元気出そう?』
「……うん」
俺はうっすらと目尻に滲んだ涙を拭いながら、改めて世界を見回した。
目に映る風景は、映画なんかでたまに見かけるヨーロッパとかの田舎の共同墓地のような雰囲気だ。
(……異世界転生モノのラノベやマンガなんかだと、主人公がいきなり物凄いチート能力を持ってたり、有名な貴族の家に生まれたりするもんだが……)
「……はぁ」
ため息をつきつつ、俺は気を取り直して前を見据えた。
……まぁ、いつまでも嘆いてても仕方がない。
とりあえずは適当に散歩でもしながら今後の方針でも考えよう。
「どーんーな運命が、待っているんだろう♪ 悔ーやーみたくないよ、だっいじなー事~♪」
ぽりぽりと頭を掻きながら、俺はお気に入りのアニソンを口ずさみつつ、早速異世界の散策を開始したのだった。
転生ゾンビの異世界ライフ、スタート。
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