異世界の歩き方 ~体で覚えるチュートリアル編~

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 (っ、やべぇ……!)  杉本ははっと息を呑み込みつつ、それでも、怪物達に背中を向ける事無く拳を構える。  (いや、落ち着け。確かにレベル差や数やステータスの能力値ではかなり不利だが、俺だってケンカ慣れしてんだ。あんな、RPGの序盤で出て来るような経験値稼ぎ用のサンドバッグくらいぶっとばせるはず)  前世で潜り抜けた死線の数々を思い起こして、杉本は己の体に活を入れる。  (……ふん。見せてやるよ。気合いと意地と根性とプレイヤースキルが、圧倒的なステータスの差を、数の差を、レベルの差を凌駕する瞬間をよォ!!)  『フゥ(↑)ー! いくぜェ!』  『行くっすよ、ゾンビさん』  『くたばれチ●コ野郎!』  ABCの順番で口を開いたホブゴブリン達は、一斉に得物を杉本の頭上に振り下した。  「はっ。来やがれ!」 自分に殺到する三つの鈍器を、杉本は軽快なフットワークで全て躱(かわ)しきると同時に、自分に最も近づいて来ていたホブゴブリンCのわき腹に上段蹴りを放った。  前世では、どんなに強い相手でもぶっ飛ばすか、膝をつかせられるだけの威力を持った蹴りは、吸い込まれるようにホブゴブリンCの体にヒット。  ゴスッ!  『ぐぇっ!?』  直後に、ホブゴブCからカエルの潰れたような呻きが聞こえて来た。
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