異世界の歩き方 ~体で覚えるチュートリアル編~

9/33
前へ
/823ページ
次へ
 ……だが、  『てめぇ、痛ってぇだろうがゴルァ!』  直後、鬼のような形相を浮かべたホブゴブリンCが、激情と共に蹴りを放ってくる。  「っ!」  大技を放ったにも関わらず、相手の対して効いていない様子に杉本は息を呑みつつも、慌てず冷静に防御態勢を取る。  「はっ! 動きがまるでゴミだな! こんなんじゃ虫も殺せね――」  前世の癖で軽口を叩こうとした杉本だったが、ホブゴブリンCの蹴りが彼のガードに当たった瞬間、杉本は大きく吹き飛ばされてしまった。  ドガッ!  「ぐ、がっ!?」  (おい、なんだこれ……)  まるでイノシシにでも突進されたような凄まじい衝撃に、杉本の瞳が驚愕に見開かれる。  ……そして、身をもってホブゴブリンの肉体強度、攻撃力を体験した瞬間、視界の端に映っていたホブゴブリン達のステータスウィンドウが更新された。  『ホブゴブリンA  Lv.8  HP:189/189  力:62 肉体強度:58』  『ホブゴブリンB  Lv.9  HP:195/195  力:68 肉体強度:61』  『ホブゴブリンC  Lv.8 HP:184/190  力:64 肉体強度:62』  (……んだよ、これ……。俺とやつらとで倍くらい攻撃力違うじゃねぇか)  しかも、自分の放った渾身の蹴りが、たったの6ダメージしか与えられなかった事実に杉本は愕然とする。
/823ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1207人が本棚に入れています
本棚に追加