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もしも杉本とホブゴブリン達のステータスが拮抗していたら、最初の杉本の蹴りでホブゴブリンCのHPを大きく削る事が出来ていただろう。
しかし、杉本がほとんど完璧なタイミングで、無防備な相手のわき腹へとカウンター気味に放った蹴りは、それでもほとんどダメージを与えられていない。
彼らと杉本を隔てる倍近いステータスの差が、杉本の攻撃の威力を大きく削いだのだ。
そして、反対に相手からの攻撃を冷静にガードしたはずの杉本が、いとも容易く吹き飛ばされてしまった。
……これが、 この世界における戦いの掟(おきて)。
いくら杉本がケンカ慣れしていても、数の差を覆して勝利を納めてきた経験があったとしても、どうにもならない残酷な世界のルール。
絶対ではないにせよ、なまじ強い程度のプレイヤースキルなど、簡単にステータスの差で捩(ね)じ伏せられてしまうのだ。
「クソッ……!」
派手に墓地を転がりながらも、回転の勢いを利用して起き上がった杉本の頭の中に、不意に自らのステータスウィンドウが表示された。
そして、その中の耐久ゲージの項目が今の一撃で大きく上昇しているのを認め、彼は舌打ちした。
(耐久ゲージ55%……。ガードしたのに、35%も上昇しやがった)
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