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「ぐっ……」
苦しげな呻き声と共に、ギースはついに膝を付いてしまう。
「ギース!?」
白刃を打ち付け、何度も切り結びながら、遠くでリーザが声を上げた。
細身のレイピアを武器に【ナイトメア】の討ち漏らしと立ち回りを演じていた彼女が、一瞬、ギースの方へと視線を向けた次の瞬間……。
――リーザの紅い瞳には、一気にギースの懐へと肉薄したセシリアが、手にしたナイフを彼の額に突き刺す光景が飛び込んで来た。
「……これで、終わりです……!」
ギラリ、金色の瞳を輝かせながら、セシリアは手の中の得物……破邪のナイフに両手を添えて、渾身の力を込めて押し込んで行く。
ズッ……ズズズッ……!!
「グ、オオオ…………ッ!?」
少しずつ……少しずつ退魔の輝きを帯びた剣身がギースの額に沈んでいく。
すると、それに伴って彼の体を白銀の光が包み込み始め、そして……。
「……ガッ!? グッ、グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
……つい先ほど、シドに体をぐちゃぐちゃに潰されても、首を吹き飛ばされても動じなかったはずのギースが、白目を剥き、全身を痙攣(けいれん)させながら絶叫を打ち上げた。
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