屍鬼王ギース・ナイトウォーカー

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 ……もっとも、その背中には安心しきった顔で眠りこけるシオンをおんぶしているので、なんともシュールな事この上ない。  ……しかし、それにしても……。  「答え、なさい……。ギース、……ナイトウォーカー。あなたは、いったい……なぜ、わたくしのナイフを受けて、平気でいられ――」  ドガッッッ!!  「がっ……!?」  「バーカ。んなモン答えるワケねぇだろ」  もう一度、ギースはセシリアのみぞおちを蹴り飛ばす。  「う……げほっ! ごほっ! ごほっ!」  再び吐瀉物を撒き散らしながら、今ので派手に咳き込んでしまうセシリアを尻目に……スッと、ギースは視界の端に表示している自身のステータスウィンドウへと視線を向けた。  ……そして、ウィンドウ内の一番下、《特性》の項目に意識を向ける。  ……そこには現在、新たに発現した『リミット・キャラクタリスティック』が……。  つまるところ、セシリアの≪人狼モード≫と同じ、いわゆる“制限特性”が表示されていた。  ちなみに、特性の名は≪屍鬼王≫。  その効果は、発動から約5分間、“耐久ゲージを無視した行動が可能になる”というものである。  ……すなわち、ギースは別にセシリアの攻撃を受けても平気だった訳ではない。  ただの痩せ我慢である。
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