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☆
「……じゃあな、ターロス。マジで世話になったぜ。今まで色々とありがとよ」
「あらあら、いいのよ気にしなくて。ギースちゃん達も元気でね」
……冴え冴えとした月の光が降り注ぐ夜空の下。
王都『レクトル』から少し離れた平原の片隅で、ギースはターロスと別れの言葉を交わしていた。
現在の時刻は、真夜中を少し過ぎたくらい。
そして、シドとの死闘と、彼の部下達+αの掃討からおよそ数時間が経った頃である。
「……ありがとう、ターロスさん。あなたが力になってくれた事、私は決して忘れないよ」
ギースの隣からおずおずと、少し居心地悪そうにしながら……それでも、リーザは真っ直ぐにミノタウロスの恩人の目を見据えて礼を言った。
ターロスはにこりと笑って、
「気にしないでちょうだい、リーザちゃん。それにアタシはあくまでも自分の正義に従って行動しただけよ。……だから、ね?」
必要以上にリーザに気を遣わせないため、種族の垣根を越えてさりげない心配りを発揮するターロスに、リーザは瞳を少しの困惑と溢れそうなほどの感謝で揺らしながら、花のような笑みを浮かべた。
「うふふ。さぁ、ほら。ギースちゃん達、早く逃げなきゃ見つかっちゃうわよ」
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