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ギースが顔を向けた先には、いつの間にか目を覚ましていたらしいシオンの微笑みがあった。
「ふあぁ……おはようございます、ギースさん」
可愛らしいあくびの後、こしこしと目元を擦りながら目覚めの挨拶を口にするシオン。
そんな彼女に、ギースは若干真顔を引きつらせつつも、努めて冷静に尋ねる。
「……おいシオン。お前いつから起きてた?」
「ふふふっ、いつからシオンが起きてないと錯覚してたんですか?」
前にギースが口にしていたアニメネタで切り返すシオン。
いつもならここで裂けるような笑みを浮かべて、『お前なかなかやるじゃねぇか』的な感心したオーラを発するギースだが……しかし、今日は普通にイラッとして、今まで背に抱えていた彼女を無慈悲に地面へと落下させた。
「きゃっ!?」
あざとい悲鳴を上げながら、湿った土の上にぺたんと女の子座りするシオンに、ギースはもう一度同じ質問を繰り返した。
シオンは居住まいを正しつつ、
「えっと……たぶん10分くらい前には起きてたと思います」
「だったら言えや。軽口叩く余裕があンならテメェの足で歩け」
「わ、わわわ、やめてくださいっ」
目を三角にするギースに、人差し指でつむじをぐりぐりやられるシオン。
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