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ギースの隣に並んだ瞬間、彼から酷い言いがかりをつけられた。
リーザは若干鼻白みつつ、けれども負けじと言い返す。
「な、何言ってるんだい!? っていうか、そういうアンタこそ『スピリテッド・アウェイ』はどうしたんだい?」
「なんか魔力不足でいつの間にか解けてたわ」
「ちょっ!? なんだいそれ!?」
「仕方ねぇだろ!! こちとらシド戦で限界以上に消耗してんだ!! 本当なら今すぐにでも死んだみてぇに眠りたいくらいだぜ!! まぁ俺もう死んでるけどな!! …………っていうか、マジでさっさと逃げねぇとやべぇぞ!! 今度こそ本気で切り抜けられる気がしねぇ!!」
「限界以上に消耗してるわりにはずいぶんと元気じゃないかい!?」
「ふ、2人とも置いて行かないでくださいぃぃぃ!?」
『待てやオラァ!!』
怒鳴りながら駆けていくギースに、器用 にツッコミを入れながら追走するリーザ。
そして、そんな2人の後を半泣きで付いてくるシオンの更に遥か後方から、松明を掲げて猛追してくる騎士の方々。
追いつ、追われつの手に汗握る逃走劇。
突然に幕を開けた真夜中のデスレースは……まるで、あたかもこれまでのギース達の軌跡を象徴し、そしてこれからの彼らの未来を暗示しているかのようだった。
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