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そうだ。
例え自分を取り巻く環境が転生直後よりも大幅に悪化し、とても償いきれないほどの十字架を背負う事になってしまっても、それらの負債を遥かに上回るほどの大切なものに、ギースはもう気付いている。
……だから、こんなところでは終われないし、終わるつもりもない。
それこそ頭をもがれようと、胴に風穴を穿たれようと、決して倒れない【不死身】の肉体が朽ち果てるその時まで、どこまでも傍若無人に、傲岸不遜に、呆れるくらい享楽的に我を通し続け、そうして最期まで笑うため……。
茨(いばら)の道と分かっていてなお、ギースは進んで行くのだ。
(クハハ! さぁ、こっからは本格的に出直しの物語。強くてニューゲームの時間だぜ!!)
俺達の戦いはこれからだ!!
裂けるような笑みと共に、ギースは夜明けの近い暁の空へと力強い眼差しを向け……。
……そうして今、ゆっくりと顔を出し、世界を優しく染め始めた朝焼けのように……。
転生ゾンビ、ギース・ナイトウォーカーの異世界奇譚は、そっと、新たな始まりを告げたのだった……。
――END――
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