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引越し前夜。
目を覚ますと、暗闇の部屋に、いるはずのない少女が居た。
上京してから、いつも一緒だった。そして色んなことを教えてくれた理央。
しかし、それは幻覚だった。
なぜなら、彼女は僕の前から「ごめんね」の言葉を残していなくなったから。
再び寝てしまった僕は、夢を見る。
それは2年前に、僕と理央が花見をした帰りに、銭湯に寄ろうとして、思いがけぬ事故に巻き込まれた映像だ。
目を覚ますと、何も変わらない部屋があるはずが、テーブルの上のメガネがないことに気がつく。
その時、アパートの外に気配が近づいてきて、ついにはドアがあく。
そこには理央が立っていた。なくなったはずのメガネをかけて。
僕は驚くが、やがてそれは、現代では解明できない超常的なことだと気がつく。
二人は別れを告げ、理央はその場から消える。
その場に残されたのは、2年前に見た桜だった。
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