一通の封筒

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それはまるで、意図的に隠されるようにあった。 服を取り出そうと、自室の中にある、タンスの引き出しを引っ張る。 お気に入りの淡いピンク色の服が見付からず。タンスの底から、服を全て取り出した時だった。 はらり、と。 畳まれた服と服の間から、白い物が落ちた。 私は何だろう?と、目線をそちらに向ける。 畳の上に落ちたそれは、一通の白い封筒だった。 ……封筒? 手にしていた服を畳の上に置き、封筒の前にしゃがみ込む。 縦に細長い封筒。 真っ白ではなく、日に褪せたように黄色掛かっていて、端の所々が擦り切れていた。 封筒をじっと見つめる。 しかし見覚えもなければ、思い当たる節すらなかった。
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