一通の封筒

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私はこの宝探しゲームが大好きだった。 紙に書かれた謎を解いた時の感動。 次なるヒントを探すワクワク感。 そして宝物を見付け出せた時の高揚感。 その全てが楽しくて。 小さい頃の私は、このゲームに病みつきだった。 もう一度手紙の文字を見る。 封筒の文字と、手紙の文字の筆跡は同じ。 封筒こそ覚えがないのに。文字の筆跡には何故か、覚えがあった。 もちろん自分のではない。 だけど見たことがある…。 漢字の撥ねが長い、独特の筆跡…。 懐かしさを感じながらも、私はこの手紙にドキドキしていた。 ──宝探しだぁ。 久し振りのゲームに、顔が綻んでしまう。
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