0人が本棚に入れています
本棚に追加
そっか…私は「夢」をなくしたから。
外の景色が見えづらくなっていたんだね。
一人家を飛び出し、その夢に私は、ひた向きに頑張ってきた。
必ず、そこに自分がたどり着き、輝くと信じていた。
だけど、どうしても越えられない壁があって、
それでも、何度も何度も登ってきたけど、
どうにもならなかった。
諦めなければ、とかいう問題ではなく根本的なもの。
徐々に、私はその夢を落として、落として、散らかして。
気づけば、私の中でそれは、夢でもなくなって。
心の中で残ったのは「虚無感」だけ。
夢をなくし、目標をなくし、「自分」をもなくした。
もう、なにも頑張りたくない。
だから、定期的に入れていた、両親への連絡もやめた。
いや、本当はこんな私を見てほしくなくて、連絡しなかっただけだ。
だいぶ連絡していない。
だけど…。それでも、こんな私にお母さんはメールを送ってくれた。
「たまには、お母さんの相手をしてちょうだい!どんな愚痴も相談も乗るからさ。なんなら帰っておいで」
遠くに居ても、お母さんは私の事をわかっていた。
私は、自分のことさえわかっていなかったのに…。
私の中で雨が降り出した。
それは、私の瞳からも溢れ出て、すぐに止まなかった。
だけど、モヤモヤした厚い雲の中からじゃなくて、
お日様が出ているのに、降る雨のようだった。
心がとても温かくなっていくのを感じる。
今なら、また歩き出せそうだ。
頑張っていた私を、また拾いにいこうかな。
「もしもし…お母さん、あのね…」
最初のコメントを投稿しよう!