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 マリンパークに到着した。  日曜日ということもあって、家族連れが多い。  イルカのショーやアシカのお食事タイムなど終始目を耀かせて見ていた彼女が、ある水槽の前で足を止めた。  「大きい……」  彼女は口を半開きにさせ、水槽の上まで見上げる。 「オオメジロザメ」 「えっ?」 「本州の水族館ではここにしかいないらしいです」 「ここだけですか? すごい」 「凶暴で、人も襲うんだって」 「そうなんですね……。襲いたくて襲ってるんじゃないかもしれないのに。ねぇ?」  その言葉は、僕にではなく、オオメジロザメに向けられている。 「お腹空いてません? そろそろご飯食べましょうか」  彼女は水槽から僕に視線を移し、「はいっ」と微笑んだ。
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