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館内にあるレストランに入り、注文をした後、僕は言った。
「来週もどこか行きませんか?」
すぐに頷いてくれると思った僕の想像に反して、彼女は表情を曇らせた。
「あ……ごめん、ちょっと急ぎすぎたかな」
動揺から、コップに入った水を飲む。
「違うんです! そうじゃなくて……私もまた会いたいです」
「じゃあ……」
「でも会えないんです」
「えっ?」
言っている意味が分からず、黙るしかなかった。
「すみません、本当に……。もう、会えません」
彼女が鼻をすすりながら頭を下げる。
「会いたいと思ってくれてるのに会えない理由、聞いても……いい?」
俯いたままだった彼女は、ゆっくりと顔を上げた。
「……忘れちゃうんです」
「……え?」
「私、記憶が一週間しかもたないの」
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