怪談語り~夏休み編

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 もしかしたら桜士とのことを何かと聞いてくるつもりがあるのかもしれない。だけどめぐりには教えるつもりなんてまったくなかった。だってふたりのことは勿体なくて誰にも聞かせたくないのだから。  徹と仲良くなったと勘違いをしている桜士にすり寄ると、いつものように抱きついた。 「妬いてる?」 「当たり前だろ。こんな魅力的なやつが恋人なんだから」  こんなことをさらりと言うものだから、今日はこっちがドキドキさせてやろうと思っても、結局自分がドギマギさせられてしまうのだ。 「またそういうこと言う」  顔が熱くて桜士の胸に顔を埋める。 「だって本当のことだしな」  そろりと頬をなでられ、顔をあげるように催促されためぐりは桜士を見あげた。  そうすれば、めぐりの大好きな桜士の顔が近づいてくる。 「んっ……ふ……」  押しつけ合った唇から甘い吐息が漏れた。そのあとはふたりだけのお楽しみだ。  意地悪で、でも甘々な桜士に蕩けさせられ、こんな夏休みがいつまでも続けばいいなと思いながら、桜士の囁きに身を震わせた。                【おわり】
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