怪談語り~夏休み編

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 めぐりがこんな感じで他に気がいっているのがわかったのだろう。ますます徹は興奮した様子で捲し立ててくる。  それを聞きながらめぐりも苛立ち始め、ついには徹にぶちまけていた。 「だから! おれは今そんな話を聞いてる暇はないんだよ。この石が勝手にポケットに入ってて怖いからすぐにでも桜士に相談したいんだ。だからそこを今すぐ退いてくれ!」  こうなったら強行手段だ。徹を無理矢理退けて出ていくしかない。 「ちょ、ちょっとちょっと待った! そんな子ども騙し本気でビビってんですか?」 「子ども騙しってさっきの話聴いてたろ。身に覚えのない石が勝手に入ってるなんて普通じゃない。これはきっと心霊現象で――」 「僕ですよそれ」 「……え、今なんて?」 「だからそれは僕があなたのポケットに入れた外で拾ったただの石ですよ」  徹は呆れた様子で溜め息をつく。  その目の前で情報を整理しようとめぐりは必死だった。  そんなめぐりを哀れにでも思ったのか、徹が最初から説明してくれた。
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