怪談語り~夏休み編

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 元々心霊現象など信じていなかった徹は、兄が怪談語りなどとやっていることをどうでもいいと気にも止めていなかった。  けれど今回桜士が参加すると聞いて自分も参加することに決めた徹だったが、めぐりという恋人ができたことを知り嫉妬した。  桜士がめぐりを好きなことを知っていて応援していた宮永が、徹の想い人が桜士だと知らずに嬉々として語ったらしい。  悶々としながらも今日めぐりと会い、意外と桜士とお似合いに見え、それが余計にやり場のない気持ちをどうにかしたい衝動に駆られた。  そんなときたまたま石の怪談話が披露されると聞き、少し驚かせるつもりで外で適当に拾った石をめぐりのポケットにこっそり入れたのだと言う。  けれどまさかめぐりが本気で心霊現象などと信じたことに呆れたらしい。 「あのですね、そもそも心霊現象なんてないんですよ。必ず何か科学的な根拠があったり、精神的なものとか病気とか。とにかく身に覚えのない石が勝手にポケットに入ってるなんてあり得ないんです」
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