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どうやら、俺は皆より酒が強いらしい
長丁場の一次会会場を見渡すと
皆結構出来上がってる
優子さんも赤く頬を染め
目も虚ろだ…
あれは、そろそろヤバイだろ
長丁場の会の為、二次会は無いらしく
会が終われば、速やかに外に吐き出され店の前に縦列で停車しているタクシーに乗り込み散っていく
なんて速やかな…
飲み会の後の祭余韻は全くない
「岩下君って北方面だよね~?」
舘さんが俺に訊ねると同時に
「この子、途中まで乗せていってくれる?」
と、優子さんを差し出した
「え?」
「え?じゃないわよ。
あんた、酔ってる先輩を置いていくつもりなの?」
いやいや。
願ってもないチャンスだけどさ…
だって女性だし
俺、男だし
任せるって言われても
いーのかよ?
「ほら、優子
岩下君が送ってくれるからねー」
扉を開けたまま停車しているタクシーに優子さんを押し込み
ギロっと俺を睨みつけた
「手ぇ出したら承知しないからね」
「はぃ。」
なら、お前が送っていけよ
と思いつつ
優子さんとの大切なチャンスだ
吸い込まれるようにタクシーに乗り込むと
タクシーは静かに走り出した
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