処方箋:本編

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避けられてる? そんな不安が確信にかわる… 優子さんは、俺に話かけられたくないようで、話しかけるタイミングも、目を合わすことさえ出来ない 必死に追いかけてきたけど 死んだ恋人の弟が近くにいるなんて 迷惑なんだろうか? 「ちょっと岩下君 聞いてるのかな?」 あ。やべ…聞いてなかった 笑顔を取り繕い舘さんに微笑みかけると 「君のおかげで女子の出席率が高くてさー」 「は?」 「あんた、ほんとーに聞いてなかったみたいね 自分の歓迎会でしょーが…」 呆れ顔をしながらも 面倒見が良いのだろう メモ用紙にサラサラと店名や地図を書き俺に手渡した 「ありがとうございます」 「いーのよ~ 私、教育係だしぃ~ その店ね、部長の行きつけの居酒屋なのよ」 「へぇ~」 「岩下君はお酒強いの?」 「そんなに強くは…ソコソコですかね?」 「ふぅーん。なら部長に潰されないように気をつけなさいよー」 「え?」 舘さんは俺の反応に気をよくし、嬉しそうに今までの新入社員の末路を教えてくれた 部長には近づくべからず 心に刻んだ 久しく『知恵ちゃん』に 行ってないな… 居酒屋と聞いて、ふと知恵ちゃんを思い出した
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