これだけは、なくしちゃいけない。

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外を歩くのにも、このままじゃいけないでしょと気を利かせてくれたので、ありがたくお借りした。 「でも家の場所がわかっても、鍵がないから入れないよ」 「それならまたわたしのお家に来たらいいわ」 僅かな違和感をミルクティーと一緒に飲み干して、おばちゃんと家を出た。 おばちゃんは私の手を握って歩いてくれた。大丈夫よ、と力を込めて。 ……あれ? でも、なんだかおかしい。 それがなんだか、わからないけど……。 そのわからない事の答えが、道の角を曲がった時に、見つかった。いや、答えを突きつけられてしまった。 「お母さんっ?」 道の向こうから来た女性が、おばちゃんに向かって駆けてくるのだ。 "お母さん"? じゃあ、この女性がおばちゃんの娘さんね。何度か会った事はあるような気がするけど、はっきりと思い当たらなくて、思い出そうと女性を見つめていると。 「……ちょっと、この服、私のじゃないの? なんで勝手に貸してるのよ!」 「ああ、ごめんね。ちょっと借りただけなのよ、ね。怒らないで……」 おばちゃんが私から手を離し、女性の方へ歩き出す。 「ごめんね、ミサキちゃん」
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