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「こちらでお待ちです。」
案内されたのは来客用の部屋だった。
樋山さんを見ると黙って頷くので私も大きく頷いた。
「失礼します。お連れいたしました。」
樋山さんがノックをしてドアを開けると中には一人の男性が座っていた。
私は深々と頭を下げて中へと入った。
そこにはーーー
陽日のお父さんが座っていた。
陽日のお父さんに会ったことは無いけれど、ひと目で分かった。
見た目は随分と冷たい印象を持っているけど、やはりどことなく陽日と似ているからだ。
あっ、違うか。
陽日がお父さんに似ているんだ。
ぼんやりとそんな事を考えたいたら
「私はこれで失礼します。」
と樋山さん。
「えっ、………ええっ?」
いきなり二人きりなの?
必死で目で訴えかけると
「何かございましたら私のデスクまで内線を。では。」
そう言うと部屋から出ていってしまった。
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