【HARUHI SIDE 真実】

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一人になって漸く頭が冷えてきた俺は、とんでもない事をしてしまったと気づいた。 けれど、時すでに遅し。 なす術が全く無かった。 ここの所、いつも一緒に食べていた昼も一人で外に食いに行った。 沙紀さんにも志賀さんにも合わす顔がなかったからだ。 きっと沙紀さん呆れているだろうな。 暫定も何も取り消しだなって。 そう思うと胸が苦しくなる。 沙紀さんを失ってしまうのが怖かった。 俺は自分がこんなにも未練たらしい男だとは思わなかった。 いや、それほどまでに俺には沙紀さんが必要なんだと改めて思った。 ほんの数日間、離れていただけなのに俺は自分を見失いそうなくらい不安定な状態になっていた。 子供の頃から抱えているあの孤独感に耐えられなかった。 母親が出ていってしまった日からのあの孤独感に。 気付けば俺は沙紀さんのマンションに向かっていた。 会って貰えるかどうかも分からないのに、それでも向かわずにはいられなかった。 マンションに着くと部屋に灯りはついていなかった。 どうやらまだ帰っていないようだ。 俺はそのまま沙紀さんが帰るのを待つことにした。 これじゃあ、まるでストーカーだな。 待っているとつい色んな事を考えてしまう。 この前の事、謝ったところで許して貰えるだろうかとか。 勝手に押しかけてきて迷惑がらないだろうかとか。 もしかして志賀さんも一緒に帰ってきたらどうしようとか。 考え出すとキリがない。 そんな心配をよそに沙紀さんは一人で帰ってきた。 少し驚かせてしまったけど、案外普通に話せて内心、ホッとした。
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