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「取らなくて良いのですか？」
ぼんやりする私に樋山さんが聞いてきた。
「えっ、そんな……連絡取るっていっても向こうも忙しいでしょうし………」
「違いますよ。ほら、それ。」
指差す方を見ると中からカプセルが出てきていた。
「あっ、これを、取るね………」
大きめのカプセルをぎゅっと回して開けるとウニ風呂に入ったお姉さんのフィギアだった。
「あなたがしてみたらどうですか？」
「はあ？な、なんでこんなウニ風呂とか私がやらなきゃなんですか。ちょっとセクハラ発言ですよっ。」
私が怒った風に言うと
「そっちの意味ではなく……連絡、してみては？の方です。」
そう言いながらもまた100円玉を入れていく樋山さん。
「樋山さん………。」
噛み合わない会話は私の頭の中そのままだ。私自身、考えが噛み合っていない。
それでも大人な樋山さんはちゃんと軌道修正してくれる。
「まっ、僕はこのまま加藤の存在が消えてくれればと願っていますがね。」
そう言いながらガチャポンを回す。
どこまで本気なんだか。
出てきたカプセルを開けると今度はマグロのネタの下にお姉さんが寝ていた。
まるでマグロ布団を被って寝ているようだ。
「樋山さん………そのマグロ布団必死で捲ろうとするのやめて下さい。」
「この下はどのようになっているのか気になったもので……純粋な好奇心の現れです。」
やはり、この人を理解するのは至難の技のようだ。
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