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「ごめん……今まで連絡しなくて。」
「ううん、大丈夫。信じてたから。」
「俺も沙紀さんが信じてくれるってずっと思ってた。」
その言葉に返すようにぎゅっと力を込めて陽日を抱きしめる。
「会いたかった……。」
「……私も。」
陽日の顔を見上げるとまた引き寄せられるように唇が重なりそうになる。
後少しで唇が触れそうになった時
ガチャ……
「もしかして、取り込み中だった?」
さすがの志賀もバツ悪そうに言った。
「はい、志賀さん。めちゃ、取り込み中ですね。なので、ここの階段を使うの止めて貰えませんか?」
私を抱きしめたまま陽日が言う。
その目はどこか嬉しそう。
「はあ?ここはお前らの場所じゃねえんだぞ。いちゃつくなら他所いけよ。」
「分かりました。じゃあ、沙紀さんこれから二人でどこか行く?二人の愛をたっぷり確かめに……ねっ?」
ウインク付きの言葉に顔が赤くなってしまう。
「何、寝ぼけた事、言ってたんだよ。お前、今日から俺の直属の部下だろ?覚悟しろよ。大企業の坊っちゃんだからって容赦しねぇからな。ほら、行くぞ。顧客リストの管理から教えてやる。」
志賀は私から陽日を無理やり引き剥がすとそのまま行ってしまった。
一人非常階段に残された私。
たった今、陽日が触れた唇に手を当ててみる。
嬉しさでにやけが収まらない。
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