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机に左手で頬づえを付き窓の外を眺めるユヅルの横に立つ。
オレも外に目を向けながら
「なに?」とたずねる。
『タカ…なに? 何しに来たん?』
「別に用があったんじゃないみたいだよ…」
ヒマ潰しだろ…とオレは答えた。
目線を変えずに
『…なるほどね…近くに居ろよ』と呟く。
オレは校庭にいる生徒を目で追いながら
「いつも居るだろー」と静かに答えた。
休み時間の賑やかな教室内。
ユヅルが向き直りオレを見上げて
右手の人差し指をクイクイと動かし
こっちに来いと招く。
オレは腰を屈めてユヅルの顔に頭を近付ける。
…ん?
髪が微かに揺れ左の耳にユヅルの唇が微かに触れた。
一瞬、目を伏せ ゆっくりと体を起こすと
口角を上げて緩く笑うユヅルと目が合う。
ユヅルは頬づえを付いたまま
また外に顔を向けた。
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