125人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
『 …何でもしてくれるんだろ 』
その言葉にドキッとし、そのまま体が固まるオレ。
近づけてきた、整った顔は片方の口角をキュっと上げ不敵に笑う。
オレの耳元に顔を更に近づけ、
「してくれるだろ」って、
もう一度繰り返す。
息が…ゾワッっと耳を擽る。
オレは首を竦め熱くなった顔で小さくコクンと頭を前に倒した。
俯いたオレの頬に一瞬、
ほんの一瞬ユヅルの唇が触れた。
その後の授業は言うまでもなく上の空で、
病気か?って思うほど胸のどきどきは続き、
顔はずーっとぽかぽかと熱を帯びていた。
もしかして…
オレの方が何かを期待してるんだろか。
オレの思いが叶い。
kissは普通に出来る…
……ふつう。 普通ってなんだ?
違和感無く自然に出来るってことか?
テンパっているオレは解らない事を真剣に考える。
好きなんだから何でも出来るよな。
……何でも。
さっきのユヅルの言葉を思い出し、
オレは沸騰する頭を左右に振った。
耳元で『帰るぞ』っと、
声を掛けられ飛び上がるオレ。
ユヅルは笑いながらオレの肩を叩き歩き出す。
オレも後を追って歩き出す。
オレの思いが叶い。
お前に何でもしてあげたい…させてあげたい。
ほんとーに、そう思ってる。
……思ってはいるんだけど…
kiss以上の事を まだした事がないオレたち。
最初のコメントを投稿しよう!