3年生

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3人で教室に向かう。 3年生ともなれば席も自由で最初に座った所が そのまま そいつの席になる。 暗黙の了解…的に決まる。 オレが窓際の後ろの席に座るとタカがオレの右隣で ユヅルはオレの前に座る。 それこそ3人の時の暗黙の了解で席はこうなる。 横に並んで歩く時はオレが真ん中で、 右がタカ 左がユヅルと並ぶ。 これは1年生の時から変わらない。 タカがオレらに、 『今年は受験生だな。のんびりしてられるのも夏までだ… もう大学どこにするか、決めてたりするの』って聞いた。 オレは特に決めてない。 やりたい事は無いし… 右手で頬づえ付いて窓の外を眺めていたユヅルが向き直り、 「オレは教育学部のある大学に行く。高校の教師になりたいんだ」って言った。 タカは驚いた様にユヅルを見、オレを見た。 オレは2年の時に聞いていたので驚きはしなかったけど… 初めて聞いた時は、余りにも意外過ぎてポカンとしたのを覚えている。 3年になった今 また聞くと ちょっと不安になる。 大学生になったらオレたちは、どうなるんだろうか? 別の大学に通う。 こうして一緒に居られるんだろうか? それとも…自然と離れ、別の誰かと付き合うのだろうか? それが男だろうと女だろうと、 自分ではないと思うと切なくなる。 オレもユヅルと同じ大学を受験しようか? そんな事を考えているとタカが言った。 『…ユヅルは大学に行ってもマサミと今の関係を続けていくつもり?』 …タ、タカ いきなり何を言い出すんだって。 オレの顔は一瞬で熱くなり赤くなった。 ………でも その答えをオレも知りたい。 ユヅルはオレをチラッと見て言った。 「どうだろ? マサミはどう考えているんだか…解らないしなー」って。 「それにオレ。 まだ何もしてもらえてないし」 だって! (なんだよ)  その言い方は、 ちょっと文句を言い掛けて止めた。 ユヅルの目が笑ってる。 からかう様に笑ってる。 タカも声を出して笑い出した。 なんでオレだけ笑えないで… 冷や汗掻いてるんだよ。 このふたりが揃うといつもこうだよ。 オレは大きな溜息を吐く、 頬づえをついて窓の外に視線を向けた。
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