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オレは進路を決めないまま、
夏休みに入った事が気になっていた。
たぶんユヅルはオレに気を使って、
「夏休みの前半、塾に行こうと思ってるんだけど…マサミも一緒に行かないか?」
って誘ってくれたんだと思う。
『 ……ん 何も決まってないのに…』
「行ってみたら何か刺激を受けて見えてくるかも知れないし」
『…そうだな。 何もしないよりはマシか』
そんな簡単なノリで決めた塾。
待ち合わせして塾に向かう。
少人数制なので7人の生徒にふたりの講師がつく。
初日と言う事で教わっている間にひとりづつ呼ばれ
学校と同じ様に進路指導が行なわれた。
講師は、
まだこの時期、オレみたいに決めてない人も居るが決まっていないと対策が遅れるので早目に決めるようにと言った。
ユヅルはもう大学も決めていたのでその大学の受験対策の勉強に入っていた。
オレは逆にちょっと焦った。
塾に来る生徒は大体、受験大学を決めていた。
成績が悪い訳では無いけど、
やりたい事、なりたいものが無いオレ。
塾に通って1週間がたった帰りユヅルが
「…ちょっと歩こう」
オレは頷きバス停を通り過ぎ、
そのまま歩道を並んで歩く。
少し歩くと小さな公園があった。
公園に入りブランコを囲う鉄柵に並んで腰を下ろす。
ユヅルが少し俯き話し出した。
オレは横顔を見つめて聞く。
「前にも言ったけど…同じ大学行かないか マサミ、理数系得意だろ、そっちの学部は?」
ユヅルと同じ大学……考えた事は何度かあった。
また4年間 一緒に通えたらって。
でも 先をちょっと考えてるユヅルの邪魔になるんじゃないかって。
オレはただユヅルと居たいだけで…
「ほんとは受かってから言おうと思ってた事があるんだ」
オレをチラッと見て また俯く。
……ん?
「オレは大学を出て教師になる。」
……うん。
「お金を稼げる様になったら……
一緒に暮らさないか
オレはいつも言っているようにマサミが好きだ、
男だとか…そんな事は関係ない
好きだから、キスしたい、触りたい、抱きたいっていつも思ってる」
聞かされた内容にオレは凄く驚いて、
ユヅルから目が離せなくなった。
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