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強引だけど俺は話を無かった事にはしたくなかった。
例えイツキさんにいくつバツがあっても俺は気持ちに変わりはなかった。
年齢的に考えて親御さんから聞いた話も合わせて離婚歴なんて想定の範囲内だったし覚悟はしてた。
今年で40歳になるイツキさん、今さら離婚の経歴が結婚の妨げになってたまるか。
イツキさんの過去も何もかも背負う覚悟はしてた。
記入済みの婚姻届を区役所に提出して俺達は晴れて夫婦になった。
イツキさんは精神科のドクターストップを承けて派遣の仕事を辞めて専業主婦になると約束してくれた。
精神科のドクターとも話し合って、派遣の事務所には寿退社ということにしてもらった。
イツキさんの体調は思っていたよりも悪かった。
いつもの総合病院へはイツキさん1人で通院しているが、経過を知る為に精神科へは俺と二人で通院することになった。
担当ドクターは女医の先生で、しっかりとカウンセリングして薬を処方してくれている。
「芹沢先生、結婚なさってから雰囲気変わりましたね」
昼休み、イツキさんの作った愛妻弁当を食べていたら職場の歯科のスタッフにスタッフルームで声をかけられた。
「そうですか?」
「なんとなく角が取れたと言うか…奥様、愛されてるんだなって」
「今までは独身でしたからね、家族が出来れば変わりますよ、そりゃ。添島(そえじま)先生だって奥様とラブラブじゃないですか(笑)」
「ウチは学生時代からですからね。年期入ってますから(笑)」
「僕もそうなっていきたいですね」
食べ終わった弁当箱を片付けて食後の一服をしに喫煙スペースに向かった。
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