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自宅のドアを開けて玄関で靴を確認したらイツキさんはまだ帰ってきてないようだった。
俺はキッチンで弁当箱を洗って寝室で着替えを片手にシャワーを浴びる事にした。
シャワーを済ませてキッチンの冷蔵庫から500mlのミネラルウォーターを出してリビングのソファーに座ってタバコに火を着けた。
テーブルに置いていたスマホを見るがランプは点滅していない。
煙草を吸いながらラインを開いてイツキさんにメッセージを送ろうとして辞めた。
「あんま束縛しても…重いよな」
時計は11時半を過ぎていた。
煙草を一本取りだそうとしたら箱は空だった。
「買い置きもないしコンビニに行くか…」
寝室でハーフパンツからジーンズに履き替えてジーンズの右後ろのポケットに長財布を入れ、Tシャツの上にライダースジャケットを羽織ってスマホをポケットに入れ玄関で靴を履いた。
エレベーターを降りてエントランスに出たら徒歩で近所のコンビニに向かった。
コンビニまでは徒歩で5分もかからない。
「58番のタバコをワンカートン」
レジでタバコの番号を告げてレジに表示された未成年じゃないですよの確認のボタンを押した。
愛用のボッデガの長財布からお金を払ってコンビニを出た。
マンションの前で会社の人に送ってもらったのだろう。
車を降りてきたイツキさんに遭遇した。
俺はイツキさんに声をかけようとしたら運転手の男が降りてきてイツキさんを抱きしめた。
は?
「やめてください、西川さん」
イツキさんは両腕で抵抗しているようだった。
「イツキさん!」
「文也くん!」
振り返ったイツキさんは今にも泣きそうだ。
ツカツカとイツキさんに歩み寄って西川って運転手を引き離した。
「俺の妻に何か?」
「イツキちゃん、結婚したって本当だったのか?」
「はい、主人です。文也くん、こちら会社の社員の西川さん」
「妻がお世話になりました。送って頂いて有難う御座いました」
右手からタバコの入ったコンビニ袋を持ち替えてイツキさんの手を握った。
「いえ、イツキちゃん元気でね?」
気まずそうに西川さんは車に乗り込んで発車させた。
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