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戦闘中に運や偶然を左右するという天童(てんどう)家の呪術(じゅじゅつ)的な特殊能力だった。ジャクヤの背中から意味不明の朗誦(ろうしょう)が低く聞こえる。歌のようでも呪文のようでもあった。切りのいいところで止めるとジャクヤがいった。
「たぶん効いているはずだが、ぼくにもなにがどんな形であらわれるんか、効果は定かでない」
「なにをした?」
「ぼくたちの姿を見えにくくなるよう、それと敵がすっきりと見えるよう、呪をかけた」
カケルが叫んだ。
「地に伏せた敵がスポットライトでも浴びてるみたいにはっきり見える。なんだか目がよくなったみたい」
クニが塹壕の底から叫んだ。
「へえ、そういうことか。近衛(このえ)四家というのは化物ばかりなんだな。ところでおれは死んでるけど戦闘に参加してもいいんだよな」
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