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クニが叫んだ。
「もういい。残るのは、副官のジャクヤとタツオだけだろ。降伏しろ。7名中5名死亡だぞ。もう十分戦っただろ」
さらに右から2名、左から3名の敵兵が降ってきた。周囲をぐるりと銃口で囲まれている。ジャクヤが自動小銃を捨て、両手をあげた。
「鳥居少尉のいうとおりや。ぼくたちは十分がんばった。タツオ、降伏しよう」
「撃つな!」
最後に狭い塹壕に下りてきたのは、生き残った敵の副官だった。階級章は進駐軍少佐だ。これで戦闘訓練は終了か。タツオも自動小銃をゆっくりと地面においた。少佐から目をそらさずに、両手をあげる。
「日乃元進駐軍、逆島少尉。降伏を宣言する」
30代の少佐が腰のケースから拳銃を抜いた。なにが起きているのか、タツオにはわからなかった。
「ふざけるな。この戦闘訓練に降伏なんかあるか。負けたほうは全滅させられるのが、上からの命令だ。命令などなくても、貴様の降伏など受け入れるともりはないがな。うちの指揮官を狙撃し、部下にたいへんな損害を加えたな。いいか、おまえらの甘い電撃とこちらの電撃は違うんだぞ。電圧は3倍以上だ」
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