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――ショーは拍手喝采で終わり、観客は散り散りに帰っていく。
私と彼は終わった後もしばらく椅子に座っていた。
多分、彼は人が少なくなって、歩きやすくなるタイミングを待っているのだろう。
そう考えていたとき、しばらく黙っていた彼が口を開いた。
「あのジンクスの言葉は訂正しないといけないと思わない?」
「え?」
「だって、イルカだけじゃなくてアシカも頑張ってるじゃん」
たいしたことを言っているわけではないのに、なぜか彼の頬は赤く染まっていた。
まさか、彼もジンクスのことを覚えていたの?
「……そうだね。アシカにも失礼だよね」
「だろ? あと、ちなみに俺……結構、ジンクスとか信じるタイプだから」
ちょっと赤かった彼の顔は、どんどん赤く染まっていく。
恥ずかしいのか、私の方をまったく見ようとしない。
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