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僕はきょとんとした。
「一回の御祈祷で、再会できる持ち時間はひとりひと晩だったんだけど、ボクは春樹ともっと一緒に過ごしちゃったし。本来、異種婚姻って結ばれちゃいけないらしいんだけど、ボクら、その、契ったし」
ちぎった、といわれて、春樹はあの一夜を思いだし、脳天から湯気を吹きあげそうになった。
「もちろんそういう例外はボクのほかにもいるんだけど……その場合はおしおきなんだって」
「で、どうするの」
「しばらく、神様のところには置いてもらえなくなって、春樹のところで、他のさびしい動物の魂を助けるお仕事をお手伝いしなさいって」
春樹は喜びで、目の前がゆっくりにじんでくるのを感じた。
「じゃ、これから、一緒にいられるの?」
震える声で確認する。ぬかよろこびは嫌だ。
「人間として生きるのは、すっごく大変だって神様にいわれたんだけど。やっぱりそうなの?」
シーナはおそるおそる問いかける。
「だってほら、前に会いに行ったときも春樹はものすごくつらそうだったし。人間の世界はしくみが入り組んでて難しいんだって……」
不安そうに言い、そしてぎゅっと寄せた眉をぱっと開いた。明るい碧眼をきゅっと細める。
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