第4章

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すずの泣いてる姿を見るのは何年ぶりだろう。 俺が中2の時以来だろうか。 あの頃の俺は反抗期真っただ中で、すずにさえも強く当たってしまっていた。 親父も揃って夕ご飯を食べていたあの日、ひょんなことからすずに言われた 「優しかったテンちゃんがいい」 俺はその一言にキレてしまった。 すずはそんなつもりで言ってはないと思うが、過去の自分を掘り下げられたと感じてしまった俺は、 「どーせお前のことなんか思い出せねーし、うるせーんだよ、しね」 さすがに死ねはマズイかなと思ったが、先に口から出てしまっていた一言だった。 その一言を聞いたすずは本気で泣いていたと思う。 まぁその後は俺も親父にメチャクチャ怒られて、初めてブン殴られたんだけどね。 その日以来のすずの涙だった。
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