第4章

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そう、俺らサッカー部は県予選の準決で負けてしまったんだ。 あと2勝で県代表だったのに。 高校最後の試合となってしまった先輩達、先輩達を全国に連れて行けなかった悔しさ、その様子にすずの気持ちも涙も溢れていた。 「ゴメンな、すず」 それしか俺は言えなかった。 すずは小さく頭を下げ、涙で滲んだ眼で俺を見た。 日焼けした肌、汗で濡れた髪。 すずも一緒に戦ってくれていた。 打ち上げの話が出る頃には先輩達にもすずにも笑顔は戻り、俺は監督から新しいチームのキャプテンだと告げられた。 死ねと言った中2以来、俺はすずを泣かせることはしていない。 だから必ず、すずを全国に連れて行くと俺は決心した。
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