第1章

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そんな俺とマリアが出会ったのは高校2年の新学期が始まって程なくしてのこと。 お互い電車通学だったが全く面識はなかった。 その日は電車の事故でいつもは座れるはずのイスに座れず、ギューギュー詰めの電車内を立っていた。 密閉した空間に、生温い不快な温度。 早くここから出たいばかりだったが、唯一良かったのが思わず撫でたくなるくらいキレイな髪をした女の子が目の前にいたことだった。 それがマリアだった。 俺はそんなマリアの髪を撫でることはしなかったが、世の中やる奴はやるんだな。 明らかにマリアに向けて股間を押し当てるハゲオヤジ。 特に正義感が強いわけでもない俺でもただでさえ不快な電車内。 さすがにイラッときた。 俺は自分のカバンをハゲオヤジとマリアの間に入れ込ませ、そのまま自分も間に入るようにしてマリアからハゲオヤジを離した。 マリアはホッとした様子でこっちを確認して、軽い会釈とありがとうございます、と一言俺に言った。 俺は大丈夫だよ、と一言いい少し胸を張った。 それが俺とマリアの初めての会話で二人の出会いだった。
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