44人が本棚に入れています
本棚に追加
え?
あぁ。
そうだよな。
やっぱり、普通はそう思うよな。
要するに。
吊り橋理論と同じ。
生理的に興奮している事で、自分が恋愛していると勘違いしたんだろって思っているんだろ?
俺は彼女を助ける事で。
彼女は生命の危機を感じ、防衛本能から。
互いに興奮状態であったことは確かだ。
けれど、それだけではない。
彼女もあの時、感じてしまったんだ。
「死」の直前。
彼女の脳から、呼吸困難からの苦痛や、死を目前とした時の得たいのしれない恐怖や苦しみを緩和させるため大量のモルヒネ(快感ホルモン)を分泌されたのだ。
脳が酸素を奪われ、低酸素症になり半幻覚状態を引き起こすことによっての快感。
それは、麻薬と同じ作用を引き起こす。
これまでに味わったことのない快楽が忘れられない女。
そして、女としてのプライドも崩れ落ち、人としての理性すらも飛んだ、その例えようもない忘我の表情と、彼女の命が自分の手の中にあったことに、異常なまでの興奮を覚えた男。
水は生命の源であり「性」と「死」の狭間から俺達に特殊な感覚を呼び起こさせるものなんだ。
きっと。
経験してみれば、アナタにも理解出来る筈。
俺と彼女の聖癖は、「水」によって開花したんだよ。
そして、きっと……「水」によって、「性」から新たなる「生」が誕生するんだ。
この想いはきっと。
同じ経験をした人間にしか分からないさ。
最初のコメントを投稿しよう!