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この世界は人間、獣人族、亜人族、エルフ族、魔族がそれぞれの国家を築いていた。
彼らはお互いに不可侵条約を結び、種族間の争いを防いでいた。
条約を守っている間は平和な日々が続いていた。
年号にすると、和暦元年から100年。
しかし、魔族の国王。後に魔王と呼ばれる。彼が配下を呼びつけ、言い放った。
「暇だなぁ。領土も手狭になってきたし、他の種族を滅ぼすか」
「国王様!不可侵条約を破ると言うのですか!?」
その言葉に配下の1人が驚きの声を上げる。
「だって暇なんだもん。だいたい不可侵条約ってなんなんだよ。魔族の王って言ったらやる事は一つしか無いじゃん」
「…同胞の繁栄…ですか?」
「違う」
気怠げに話す魔王を見て配下が若干苛立ち気味に聞き返す
「…ならやる事とは?」
「そんなの決まってんじゃん。世界征服だよ、世界征服。だって魔王だよ?世界を征服しなくて何をするんだよ。同胞の繁栄?同胞の幸せを守る?そんなの魔王じゃ無い!」
「ダ、ダメですよ!100年続いた平和を崩すなんて!かなりの同胞を失い、その家族を路頭に迷わす事になります!」
「なら全員魔王軍にすれば良いじゃないか!それなら良いだろ!?」
「ダメです!」
「むぅ」
魔王は配下に叱られむくれる。
この日はこれで落ち着いたのだが、数年後魔王軍が近隣の諸国へと侵攻を開始した。
それが、和暦最後の年108年のことであった。
魔王軍が侵攻を開始した年から年号が変わり、魔暦元年となった。
「遂に念願の世界征服開始だ!ヒャッホイー!」
魔王はあまりの喜びに舞い踊ったと言う。
それから十数年後。
場所を移し、地球の日本と言う地。その地に住む1人の少年。名を松岡 郁斗(まつおか いくと )と言う。
彼は現在高校1年生の16歳である。
しかし、学校にはあまり通わず所謂ネトゲというものにハマっていた。
日付が変わる深夜。
「さて、そろそろログインでもするか」
そう口に出すが、勿論1人である。
パソコンに電源を入れ、ゲームにログインする。
「今日は皆早いじゃねーか」
『イク遅いぞ!』
「悪い。風呂入ってた」
『今日はどのクエスト行く?』
クエストとは勿論ゲームの話だ。間違っても現実の話では無い。
「そうだなー。金になるクエストが良い」
クドイが、ゲームの話である。
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