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「…………それで、なぜ私がここにいるのか、なぜ私が再起動したのか、なぜ目をあけて一番にあなたの顔を見なければならないのか、ご説明いただけますでしょうか?」
目を開けるなり一気にしゃべり始めたアンドロイドに、中田はやれやれと溜息を吐いた。
「ったくお前は、相変わらず生意気なアンドロイドだな」
「アンドロイドの性格が変わることはありません。相変わらずで当然です」
お前と話していると疲れる、とぶつぶつ言いながら、中田はアンドロイド…………葉山のデータをチェックする。
「それで、私はなぜここに…………アンドロイド研究所にいるのですか?」
「そんなの決まってるだろ。未世ちゃんが連れてきたんだよ。直してくれって泣きながら頼まれてな。俺もお前なんか直したくなかったけど、あぁ泣かれちゃあな…………しかし、壊れるにも程度ってもんがあるだろ。あんな派手に壊れくれてさ。おかげでこっちは連日の徹夜で寝不足で」
「…………ここにはこないよう、あれほど念を押したのに…………」
中田の最後の方の愚痴は無視して、葉山は額に手をあてた。
「っていうかさ、未世ちゃんから話は聞いたけど、身を引くとか柄にもないことするなよな。今まであれだけ未世ちゃんに執着しておいて、いきなり放り出すとか、未世ちゃんがかわいそうだろ」
「私がいつ未世様に執着した、と?」
「はぁ?自覚なしかよ…………俺が未世ちゃんに告白しようとしたとたん、未世ちゃんを研究所から遠ざけやがって」
「当たり前です。あなたは未世様にはふさわしくありません」
「なんでだよ。アンドロイド技師っていったら高給取りだぞ?」
「あなたは性格に難があります」
「お前は、自分のことは棚に上げて…………それじゃあ、あの、隣町の医者の息子は?」
「彼は少々浪費癖があります」
「例の美容師は?」
「彼は女性関係が問題です」
「なんとかって服屋の店員は?」
「彼は収入面が心配です」
「あのなぁ…………」
未世に想いをよせる相手を次々と否定する葉山に、中田は頭を抱えた。
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