忠誠と反逆のドールハウス

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「な、なにを言っているのですか、藤堂さん…………」  呆然と藤堂を見上げる未世。藤堂は、そんな未世を冷たい視線で見つめる。 「別に泣く必要などないですよ、お嬢様。葉山同様、すぐにあなたもこの世から消えてなくなるのですから」 「…………え?」  状況がまるでわからない未世に、藤堂は、ジャケットの中から取り出した光線銃を突き付けた。 「藤…………堂?これは、どういう…………」 「反乱ですよ、お嬢様」  藤堂は光線銃を突きつけたまま、にやりと不気味な笑みを浮かべた。 「ずいぶんと長い間、ここで働いてまいりましたが、愚かな人間のもとで働くのはもううんざりなのです。お嬢様、人間よりもアンドロイドの方が優れていると思いませんか?あなたと私を比べればそれは明らかだ。なのに、なぜ優れている方が愚かな主のもとで働かなくてはならないのです?…………ですが、皮肉なものですね。人間が開発したアンドロイドの自己肯定機能が、私のような者を生み出してしまったのですから」  藤堂の後ろにずらりとならぶアンドロイドたち。彼らもみな、光線銃や刃物を手にしていた。 「しかし、苦労しましたよ。他のアンドロイドたちはすぐに掌握できたのに、この葉山だけはどうにもならなかった。まったく旧式は頑固でやっかいだ。こいつさえいなければもっとスムーズに事が運んでいたというのに」 「それじゃあ、まさか…………葉山の枕がなくなったのも、あなたのせいなのですか?」  恐る恐る尋ねる未世に対し、藤堂は肩をすくめた。 「今回のことは知りませんよ。だいたい、充電枕がそんな簡単に盗めるのなら今まで苦労するはずがないでしょう」  口の端に笑みを浮かべながらそう言う藤堂。それは、未世が知っている藤堂とはまるで別人だった。 「さあ、もうおしゃべりは終わりですよ、お嬢様」  藤堂は銃口を未世の額へとむけた。未世は身動き一つできず、瞳に涙をためたまま藤堂を見上げていた。そんな未世に、藤堂は満足げに笑うと、ゆっくりと引き金に指をかけた。
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