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運転手は、運転席から、まぁ気をつけなと声をかけて、そのまま走り去った。
僕は自転車を起こして、しっかりしなきゃと両頬をぱちんと叩いた。
そして、自転車にまた跨がり家路を急ぐ。
春先ではあったけど、寒い夜だった。
大したことはないのだけど、打ったところがヒリヒリとする。
僕はちょっと休憩と自販機に寄り道した。
温かいコーヒーでも飲もうと尻のポケットに手を伸ばして、財布を取ろうとした。
「あれ?ない!」
いつもそこにあるはずの財布がない。
「ヤバい!」
僕は慌てて転倒した現場へと自転車を走らせたが、そこに財布はなかった。
僕は青ざめて、自宅とは反対方向の交番に駆け込んだ。
「すいません!財布の届け物はありませんか?」
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