黒目が一匹

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 強い日差しの中、仰々しいプロテクターに身を包み座っている。  夏の暑い日、汗が滴る──。  ピッチャーの球が大きく右にそれたので、俺は素早く捕球すると、一旦流れを落ち着かせるように、ゆっくりと前に進み出てから投手へと返球する。  また捕手の定位置に戻るため、振り返ろうとした瞬間、その視線の中に──。  あれ? ふと気がついた。 (あんな所で、女の子が一人で何してるんだろう?)  その女の子が立ってる場所は、グラウンドよりも高い位置にある国道沿いの歩道。  このグラウンドは、ベンチの後ろ側が、草木が無造作に生えた斜面になっていて、上がりきると国道沿いになっている。その歩道の手すりに肘を置いて、その女の子は下でやっている俺たちの試合を見ている。雰囲気からすると、かなり前から見ていたような感じだ……。 (兄弟でも居るのかな? 向こうのチームだろうな?)  あんなやつ、俺らの学校で見たことないし……。その後も、俺は一瞬見えたその女の子が気になっていた。馬鹿らしい、たかが女子だろ? 一瞬でも女子なんかに気を取られたのが気分が悪い。  けど、また気になってチラリと見てしまった……。
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