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「実は、ノアから君を指名して警護の依頼があった」
「警護、ですか?」
「ああ。我々は彼に貸しがある。今回の君の件もそうだが、以前から世話になっているのでね。ノアの要望はなるべく聞き入れたい」
合法的かつ善良な目的であれば、個人でも費用を負担して警官を借り入れることは可能だ。
警察がノアの警護にあたることには賛同する。犯罪組織の連中がノアの顔を覚えていて、報復に来ないとは限らない。
だが指名があったとなれば話は別だ。
「待ってください。今は連続殺人犯を追うことが最優先のはずです。個人の護衛をするために捜査から外れるわけにはいきません」
「もちろん、私も君を捜査から外すつもりはない。安心してくれ」
警部の返答は意外にもあっさりしたものだった。
警護ならば特殊作戦部の人間がすべきだ。俺が行く必要は微塵もない。捜査からも外されたくなかった。それに本音を言えば、病院での出来事───あんなことをされた後で、あいつに関わりたくなかった。
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