プロローグ

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「テオ。レディピッカは満月の光にあてると七色に輝く、とても美しい石だった。コルナーロ家の家宝で、ペンデュラムのボブとして使われていたものなのよ。レディピッカがおじいさまの日本行きにYESと占い結果を出したから、おじいさまは日本へきて私と出会ったの。だから私にとっても大切な、大切な、石だった……」  ペンデュラムとはダウジングに使う〈振り子〉。  おもりの部分を〈ボブ〉といい、これにパワーストーンが使われる。  ダウンサイジングとは占いの手法で、ペンデュラムを持ち、「YES・NO」で答えられる質問をなげかけ、ペンデュラムが自分のイメージ通りに動けば「YES」、動かなければ「NO」となる。  己(おのれ)の潜在意識に問いかけるものだ。  祖母の膝の上で、レディピッカの話を聞かされた幼いテオ。  大好きな祖母が悲しむ顏を見て、自分も悲しくなった。 「おばあちゃま……。僕が大人になったら、おじいさまのレディピッカを見つけるから、元気出して」 「ありがとう。テオは優しい子ね」  祖母は涙を浮かべてテオの言葉を喜んだ。  大きくなった海藤テオは、《怪盗レディピッカ》となった。
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