最終章 グラツィエ ミッレ! ティ アーモ!

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***  テオが仮面屋ファンタズマをたたんでイタリアへ戻ってしまってから数カ月。  未紅は時折元町を訪れては、かつての仮面屋ファンタズマの前を通ってみる。  仮面の飾られていない店内は、ガランとして暗い。  それでもテオの匂いを感じる。  商店街で『マダム・ウィンドの占いの館』を見つけたので、入ってみた。  黒衣の占い師ウィンドさんが座っていたので、ファンタズマで購入したペンデュラムを使ったダウジングで占ってみることにした。 「ペンデュラムによるダウジングは、自分の深層心理に問いかけるものです。迷ったときに自分の進む方向の小さな道標となります」 「そうなんですね」 「YESかNOで答えがでるように、あなたの聞きたいことを心の中で唱えてください」 「はい」 「NOなら静止。YESなら円を描いてくださいと考えてください」 「はい」 「ではゆっくりと深呼吸……。精神統一して、聞いてください」  未紅は精神統一すると、(私はテオさんに会うためにイタリアへ行くべきか?)と考えた。  しばらくユラユラと揺れていたペンデュラムはグルグルと円を描いた。 「結果は出ましたね。今後の参考にしてください」  やはりそうなんだなと、未紅は改めて自分の気持ちを確認した。 「ありがとうございました」  未紅は店を出ると、テオとデートしたルートを歩いた。  港の見える丘公園、フランス山、イギリス館、山手111番館、外国人墓地……。  山下公園まで戻ると、ベンチに座って氷川丸と海を眺めた。  どこを歩いても優しい気持ちになれる街。
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